
T.上海の社会保険制度
U.上海での人材雇用
V.労働派遣
W.リードエス人材コンサルティングの御紹介
●はじめに
中国における社会保険制度は、上海においては、市中心で実施されている「城保(城鎮社会保険)」、郊外で実施されている「鎮保(小城鎮社会保険)」、及び外地人に適用される「総合保険」の三種があります。(社会保険とは別に、「住宅積立金制度」という福利厚生制度が存在しますが、便宜上社会保険と同列にてご説明します。)
現在、社会保険には養老保険制度(日本の年金保険に相当)、医療保険制度(日本の健康保険に相当)、失業保険制度、住宅公積金制度(住宅積立金制度)のいわゆる「四金」に加え、近年新設された労災保険、出産保険の6種類(「六金」とも言われる)から構成されています。(ただし、新設の保険には従業員の個人負担制度がないため、現在でも「四金」が社会保険の俗称となっています。)
1.上海の社会保険制度の現状
中国中央政府は全国的に統一したガイドラインを設定したものの、各地方政府は各自の条件に従って実施しています。
以下に上海市においての主たる社会保険の名称と、保険別の会社負担率、個人負担率の代表例を列挙します。
表1 上海における社会保険の名称と保険別の会社負担率、個人負担率
番号 |
名称 |
会社負担率 |
個人負担率 |
合計 |
@ |
養老保険 |
21% |
8% |
月給(総支給額)x 29% |
A |
医療保険 |
11% |
2% |
月給(総支給額)x 13% |
B |
失業保険 |
1.5% |
0.5% |
月給(総支給額)x 2% |
C |
住宅積立金 |
7% |
7% |
月給(総支給額)x 14% |
D |
労災保険 |
0.5% |
無し |
月給(総支給額)x 0.5% |
E |
出産・育児保険 |
1% |
無し |
月給(総支給額)x 1% |
合計 |
42% |
17.5% |
月給(総支給額)x 59.5% |
労働者は上記の状況において法律に基づき国家から社会保険給付を受け、労働者の死亡に際してはその遺族が遺族年金の給付を受けることができます。
すべての労働者及びその使用単位(企業等)は社会保険に加入し、社会保険料を納入する義務を有しており、労働契約には必ず法定の社会保険および福利待遇事項を明記しなければなりません。
保険業務は、各地の労働行政部門に所属する労働と社会保障機構が担当しており、登録、保険料の徴収、保険金の支給等を行います。
上記を総合すると、社会保険料が給与総額の59.5%にもなり、「中国では額面給与を人件費だと思っていたら大間違い」とよく言われるのはこのためです。
上記のとおり、月給(総支給額)が社会保険料計算の基数ですが、基数は上海市前年度平均給与の3倍(2012年度上海市平均給与はRMB4,692→2013年度基数はRMB14,076)を上限、上海市前年度平均給与の60%を下限として設定されています。社会保険の基数上限は毎年4月、住宅積立金の基数上限は毎年7月に更新されます。
2008年度の基数 下限1,735 RMB〜上限RMB8,676
2009年度の基数 下限1,975 RMB〜上限RMB9,876
2010年度の基数 下限2,140RMB〜上限10,698RMB
2011年度の基数 下限2,338RMB〜上限11,688RMB
2012年度の基数 下限2,599RMB〜上限12,993RMB
2013年度の基数 下限2,815RMB〜上限14,076RMB
2014年度の基数 下限3,022RMB〜上限15,108RMB
2015年度の基数 下限3,271RMB〜上限16,353RMB
2016年度の基数 下限3,563RMB〜上限17,817RMB
2.上海市における「四金」の計算方法
(1)給与総額が下限、上限以内(3,563元〜17,817元以内)の計算方法
@養老保険 |
A医療保険 |
B失業保険 |
C住宅公積金 |
(2)給与総額が上限を超える場合(17,817元を超える場合)の計算方法
@養老保険 |
A医療保険 |
B失業保険 |
C住宅公積金 |
(※注 小数点以下は四捨五入しております。) |
(3)給与総額が下限以下(3,563元以下)の計算方法
@養老保険 |
A医療保険 |
B失業保険 |
C住宅公積金 |
(※注 小数点以下は四捨五入しております。) |
1.個人所得税
■個人所得税について
所得税は、社会保険、住宅積立金の自己負担部分を控除した金額に、累進課税方式で課税されます。納め方には@会社の代納、A個人による納税、の2通りがあります。
しかし、個人が納税を怠った場合は会社が責任を問われ、事務所の閉鎖などの際に、未納分を収めなくては閉鎖できないなどという事態が発生しますので、会社による一括代納の方が安全といえます。また、Aの場合は、納税のために半日費やされることもあり、現在では会社による一括代納が一般的になっています。
個人所得税の計算方法
所得税税率表 (月額、単位:RMB)
級 |
課税対象金額 |
税率(%) |
速算控除額 |
1 |
0〜1,499 |
3 |
0 |
2 |
1,500〜4,499 |
10 |
105 |
3 |
4,500〜8,999 |
20 |
555 |
4 |
9,000〜34,999 |
25 |
1,005 |
5 |
35,000〜54,999 |
30 |
2,755 |
6 |
55,000〜79,999 |
35 |
5,505 |
7 |
80,000〜 |
45 |
13,505 |
- 基礎控除額:上海市 3,500RMB)、外国人:4,800RMB (2008年3月1日)
・ローカルスタッフ(中国籍)
所得税額 =(月給総支給額 − 個人四金 − 2,000)× 税率 − 速算控除
・外国人(非中国籍)
所得税額 =(月給総支給額 − 4,800)× 税率 − 速算控除
■会社負担方式:手取り給与(税引き後)から所得税を計算する計算式
所得税={(手取給与額−基礎控除額−速算控除額)÷(1−税率)}×税率−速算控除額
={(手取給与額−基礎控除額)×税率−速算控除額}÷(1−税率)
条件1:上海市(基礎控除額:3,500元)、中国人の場合の計算方法
例1) 手取月収5,000元の場合
{(5,000−3,500)×10%−105}÷(1−10%)=50
よって 所得税=50元
例2) 手取り月収10,000元の場合
{(10,000−3,500)×20%−555}÷(1−20%)=931.25
よって 所得税=931.25元
条件2:外国人(基礎控除額:4,800元)、日本人の場合の計算方法
例1) 手取り月収8,000元の場合
{(8,000−4,800)×10%−105}÷(1−10%)=238.88
よって 所得税=238.88元
例2) 手取り月収10,000元の場合
{(10,000−4,800)×20%−555}÷(1−20%)=606.25
よって 所得税=606.25元
■個人負担方式:税込み給与から所得税を計算する方法
所得税=(税込み給与−基礎控除額)×税率−速算控除額
↑課税対象額
条件1:上海市(基礎控除額:3,500元)、中国人の場合の計算方法
例1) 税込み月収5,000元(社会保険費用本人負担無し)の場合
(5,000−3,500)×10%−105=45
よって 所得税=45元
条件2:外国人(基礎控除額:4,800元)、日本人の場合の計算方法
例1) 税込み月収10,000元の場合
(10,000−4,800)×20%−555=485
よって 所得税=485元

2. 諸手当
現在、労働法で定められている手当ては残業手当のみですが、一般的に下記のような手当てがあります。
・残業手当 |
・食事手当 |
・通勤手当 |
・住宅手当 |
・出張手当 |
・教育手当 |
・携帯手当 |
・健康診断 |
営業担当の場合はこの中でも、携帯手当、通勤手当、食事手当、出張手当を付与する企業が多いです。
人材獲得の激しい大都市圏では、優秀な人材の獲得のために手厚い福利厚生制度を設ける企業が増えつつあります。
※諸手当の解釈
■残業手当
中国では1日8時間以上の労働は残業とみなされ、残業手当の支給が法律で義務付けられています。支給率は@平日、A土日、B祝祭日で規定が異なり、更に各地域によっても異なりますが、一般的には下記が基本になります。
(2008年1月3日「従業員の年間月度平均勤務時間及び給与計算の問題に関する通達」労社部発[2008]3号 に基づく)
1日あたりの手当=月額給与÷21.75
1時間あたりの手当=月額給与÷21.75÷8
(∵1日=8時間勤務)
@ 平日 : 1時間あたりの手当て×150%×時間
A 土日 : 1時間あたりの手当て×200%×時間
B 祝祭日: 1時間あたりの手当て×300%×時間
■通勤手当
およそ7割程度の企業が通勤手当を支給しており、その支給方法として以下の二通りがあります。
@ 実費支給
A 固定支給
基本的に公共交通機関(バス・地下鉄・電車)のみに適用されます。郊外に立地している場合は、公共交通機関がない為、通勤バスを手配する必要があります。この際、バス路線の管理などの業務が増加しますが、人材の確保のために通勤バスは不可欠なものといえるでしょう。
■出張手当
一般的な企業の中では、以下の2通りの設定があります。
@ 宿泊費・交通費は実費清算、食費などの補助として出張手当を支給
A 宿泊費・交通費・食費などを全て込みで出張費を支給
さらに考慮するポイントとして、日帰り出張時の扱いや、宿泊ホテルの職位別規定(○星ホテル、部屋のランクなど)、僻地規定などがあります。
■携帯手当
営業マンに対しては、8割以上の企業が携帯手当を支給しています。こちらの支給方法に関しては、以下の3通りがあります。
B 実費清算(会社が携帯を支給するなど)
C 固定支給
D 割合負担(会社負担分と個人負担分の割合を決める)
■食事手当
日本の風習と異なり、中国人の感覚では、勤務中の昼食費は企業が負担する、という考え方が一般的です。こちらは以下の3通りがあります。
@ 現物支給 46%
A 現金支給 27%
B 食事手当て無し 27%
オフィスビルなどでは、自己負担、オフィスビルの社員食堂、お弁当の配達サービスなど多種多様です。
製造業では社員食堂やお弁当(10〜15元/人)の配達サービスなどを利用する企業が多く、それらは一般的には会社負担となっております。
■住宅手当
法廷福利の住宅積立金とは別に支給されます。人材の流動化や進出企業の郊外化により、優秀な人材の留保索のために支給されるケースが徐々に増えています。まだまだ住宅手当を付与している企業は少ないですが、人材の確保の為に必要となってくるであろう手当の1つといえます。
■教育手当
中国人の場合、日本人に比べてキャリアアップ志向が極めて強く、その仕事をしながら自分が何を学べるか、ということに重点を置いて考える傾向があります。
その背景の中で、教育制度が整っていることは、優秀な人材、勉強意欲のある人材を集める上で重要な意味を持ちます。
具体的には、採用後に研修のために日本本社へ派遣、または外部研修への派遣、社内語学コースの開設、資格取得奨励金の支給などがあります。
■健康診断
法律で義務付けられているわけではありませんが、6〜7割以上の企業で毎年行われています。派遣会社経由の雇用であれば、毎年、派遣会社主催の健康診断があります。
健康診断の項目は企業が選択し、実施費用は企業が負担します。
3. 休暇
法定祝祭日
祝日である上記期日の前後には土日が出勤日とされ、その振り替え休日を祝日の後につけ、合わせて連休とされます。日程については政府国務院から発表があり、毎年異なります。
従来、中国では「春節」「労働節」「国慶節」を大型連休としていましたが、2008年より祝祭日に大幅な変更が加えられ、法廷休日のスケジュールは大きく変化しました。なお全体の祝日は10日から11日に増加しました。
《全国年間祝日及び記念日休日弁法》(2007年12月14日第二次改正)
|
期日 |
期間 |
元旦 |
1月1日 |
1日 |
春節(旧正月) |
旧暦1月1日〜3日 |
3日 |
清明節 |
旧暦清明節 |
1日 |
労働節(メーデー) |
5月1日〜3日 |
1日 |
端午節 |
旧暦端午節 |
1日 |
中秋節 |
旧暦中秋節 |
1日 |
国慶節(建国記念日) |
10月1日〜3日 |
3日 |
有給休暇
2007年12月7日、《従業員年度有給休暇条例》が国務院の審議を通過、2008年1月1日から下記にて施行されています。
累積勤続年数 |
有給休暇取得日数 |
1年以上10年未満 |
5日間 |
10年以上20年未満 |
10日間 |
20年以上 |
15日間 |
年休は、1年度に集中してとることも分割してとることも可能ですが、原則、次年度に繰り越すことはできません。会社が生産、業務の関係により年度を越えて従業員に休暇をとらせる場合、翌1ヵ年でのみ調整できます。
会社が業務の必要により、従業員の有給休暇を調整することができない場合、従業員本人の同意の上、有給休暇を取り消すことができます。従業員が取得すべき有給休暇日数に対し出勤した場合、会社は、当該従業員給与の300%を休日出勤報酬として支払わなければなりませんので、注意が必要です。
4.試用期間
企業が労働者を雇う場合、法律で定められた範囲内の試用期間を設けることが一般的です。労働期間とは、雇用側が労働者の能力を見極める期間のことですが、労働者が会社を試す期間でもあります。そのため、試用期間中の契約解除は、雇用側の採用条件に満たない場合、そして従業員がその労働条件に納得がいかない場合両方において認められています。また、試用期間中の給与は、日系企業の場合は1〜2割安が一般的ですが、従業員のモチベーションとの兼ね合いから、全額支給する企業も多いです。 2008年1月1日施行の新しい《労働契約法》第19条は、次頁表のとおり試用期間を制限したため、従来どおりの1年契約では、試用期間は2ヶ月に短縮しなければならないことに留意する必要があります。
労働契約期間 |
試用期間 |
3ヶ月未満 |
なし |
3ヶ月〜1年未満 |
1ヶ月以内 |
1年〜3年未満 |
2ヶ月以内 |
3年以上及び無固定期間労働契約 |
6ヶ月以内 |
5.求人手段
日本とは異なり、キャリアアップの意識の強い中国では、3〜5年以上の長期にわたって同一の勤務先に勤めることは極めて少ないです。
それはつまり、常に戦力を失う危険があることを意味しており、企業にとっては“即戦力”となりうる人材の獲得が非常に重要となります。
一般的に、上海にて人材を獲得する手段として主に以下の5つがあります。
ア.人材市場
イ.新聞・雑誌媒体
ウ.人脈
エ.インターネット
オ.人材紹介会社
以下では、それぞれについて説明していきます。
ア.人材市場
上海では、人事局、労働保証局ともに各市区で人材市場を主催しています。
a. 常時情報を入手できる職安的な施設
b. 週末などに開催される企業合同の就職セミナー
人材市場には上記の2種類があり、bの場合、求職者は会場にてアプライフォーマットに記入し、求人企業の各ブースを自由に周り応募することができます。一方、企業は700元程度のブース出店料(看板料込み)を支払い、最大2名の社員が入場します。企業はブースに募集要項を張り出し、それを見た求職者の申し込みを待ち、申し込みがあれば、その場で面接をすることができる、という内容です。
求職者からの応募は多く得られるのですが、概してこの人材市場への参加者は地方出身者の割合が多く、能力を持った人材に出会える確率は少ないと言えます。
イ.新聞・雑誌媒体
中国では新聞・雑誌媒体を通じた求人が一般的で、駅構内で無料配布されていたりするため、一度に多くの求職者からの応募を得られるメリットがあります。
しかし人材市場と同様、こちらも大量の応募者を抱えることになってしまい、求めている人材を探しだすために、履歴書の選考や面接などに多くの手間とコストが割かれることになります。また、掲載期間が限定されていることや、自社の募集情報が競合他社などにも知れ渡ってしまうデメリットなどもあります。
ウ.人脈
自分の交友関係、もしくは自社のネットワークを用いて人材を探し出す方法です。
マスコミやIT業界など、専門の技術や経験を持った人材を見つけ出すときによく使われています。募集をかける範囲が自社の周りのみに限定されるので集まる人材は極めて少数なのですが、企業の業界内で探すことになるため、細かなニーズの価値観を共有でき、推薦された人材は望みどおりの人材である可能性が高いです。
また、いわゆる縁故採用の方法もあります。こちらは、身元が保証されている、コストがかからないというメリットはあります。しかし、万が一その人材が戦力にならなかったときに解雇できない、そういう人材に対する他従業員からの不満が溜まるなど、経営上の大きな支障となるケースが多いです。
エ.インターネット
転職サイトや自社のHPなど、インターネット上で広告を出して人材を集める方法です。
雑誌や人材市場と同様、大量に応募者が集まり過ぎるので手間・コストがかかるというデメリットもありますが、それらと異なる特長として以下のようなものがあります。
・ 男性の利用率が高い
・ 新卒・ジュニア層が多く獲得できる
・ 比較的安価な広告費用で募集できる
・ 掲載期間が選べる
オ.人材紹介会社
現地の派遣会社、日系の紹介会社を用いて、人材を紹介される方法です。
求人条件を人材紹介会社に伝え、人材紹介会社の持つデータベースの中から、ニーズに合った人材を紹介される。その人材との面接した上で採用が決まれば仲介料が発生する、というシステムになります。
中国では求職者から紹介料を取ることは基本的に認められていないため、仲介料は企業に対してのみ発生します。
中国で企業が“即戦力”となる人材を求める上での最も一般的な方法でしょう。他の方法に比べ、コストが高くなる(仲介料の相場:人材の月給2ヶ月程度)ということが1番のデメリットとなりますが、人材紹介会社が履歴書選考や1次面接を代行した上で人材を紹介されるため、求めている人材に出会える確率が高いです。
メリット |
媒体 |
デメリット |
・低コスト |
人材市場 |
・人材が集まりすぎ、選考に時間と労力のコストがかかる |
・多くの人材からの応募が集まる |
新聞・雑誌媒体 |
・人材が集まりすぎ、成功に時間と労力のコストがかかる |
・身元の保証がある |
人脈 |
・人材に出会うまでに時間がかかる |
・広範囲で募集できる |
インターネット |
・入手できる人材情報の年齢層が限られる |
・成功保証がある |
人材紹介会社 |
・コストが高い |
6.募集時のポイントと必要な情報開示
現在上海地区は、日系企業の進出が非常に多い地域であり、他地域に比べ日本語人材も豊富ではありますが、極端に多い需要人材が企業を選ぶ環境(日系企業にとって優秀な人材が不足する状況下)では、いかに人材に自社求人に応じてもらうかは大変重要な作業です。
その際に重要になることは、人材への情報開示とPRです。
2008年1月1日に施行された《就業サービスと就業管理規定》第3章第11条において、企業の経営概況や職位の業務内容、給与や福利厚生など待遇面について、その募集要項を開示しなければならないとしています。
これにより、「委細面談」「待遇面談」などの曖昧な表現は原則として禁止されています。
■労務派遣法規改正
中国の労働集約型産業における工場や作業現場では、労使関係のトラブルリスクを回避する
ために、労務派遣会社から派遣労働者を雇用するという方法が多用されています。2008年に
労働契約法が施行されて以降、労働者の権利が重視され、企業の裁量の制限とリスク増大が
顕著となりました。このため、企業が直接雇用を回避し、派遣会社を通じた労働者の確保に
方向転換するケースも多くなっていますが、昨年12月28日には、労働契約法の労務派遣に関
する条項が改正(2013年7月1日施行)され、労務派遣を取り巻く環境が益々厳しくなってい
ます。改正内容を説明する前に、中国で言うところの労務派遣は日本と異なる点があります
ので、下表でご参照ください。
【日本と中国の労務派遣の違いについて】
日本の労務派遣 | 一般的な中国の労務派遣 | |
雇用関係 | 派遣会社 | 派遣会社 |
就労管理 | 派遣会社 | 企業 |
給与支給、納税 | 派遣会社 | 企業or派遣会社(協議により決定) |
社会保険付保 | 派遣会社 | 企業or派遣会社(協議により決定) |
スタッフ差し替え | 可 | 原則、不可(派遣会社の規定による) |
派遣期間中の契約解除 | 可 | 不可 |
契約解除時の補償金 (経済補償金※1) | 不要 | 企業or派遣会社 (派遣会社の規定による) なお、 ※2 リスク費参照 |
待機期間の保障 (最低賃金、法定福利) | 不要 | 企業or派遣会社 (派遣会社の規定による) なお、 ※2 リスク費参照 |
派遣費用 | 派遣時給(日給、月給)換算 | スタッフ月次雇用コスト+管理費 (+※2 リスク費) |
※1 経済補償金:
雇用契約の解除に際して、法律の定めに従い、企業から労働者に支払われるよう義務
付けられている。
※2 リスク費:
現行の労働契約法施行に伴い、労働者に対する法的保護が強化され、解雇や契約解除を
行使できる範囲が縮小された。そのため、従来の月次雇用コストや管理費に加えて、様々
な労使紛争に備えるためにリスク費を徴収している派遣会社がある。企業に代わり、経済
補償金の支払や待機期間の保障を行うこととしている派遣会社は、それらの費用をリスク
費から捻出している。
【情報提供:上海市対外服務有限公司(FESCO)】
【労務派遣に関する改正ポイント】
主な改正ポイントは以下のとおりです。
@ 労務派遣会社の経営条件の厳格化(第57条)
・登録資本金を最低50万元から200万元に引き上げ
A 「同一労働同一報酬の原則」の再確認及び強化(第63条)
B 労務派遣の職務定義の明確化(第66条)
旧法では労務派遣を、「臨時的、補助的あるいは代替的」な業務と規定していたが、
改正後はそれを更に明確化。
・臨時的:最長6か月の派遣期間
・補助的:主要業務から派生する補佐業務
・代替的:労働者の離職就学、産休などの理由による代行業務
C 派遣労働者雇用数の制限(第66条)
「派遣労働者数は全体の労働者数の一定比率を超えてはならず、具体的比率は国務院
労働行政部門が規定する」→ 現時点では、具体的な「一定比率」は不明確
D 違法行為への罰則強化(第92条)
・罰則対象を労務派遣企業に加え、派遣先企業にも拡大
・無許可経営に対する罰則及び罰金を明文化
E過渡期(7月1日以前)の措置
・7月1日施行以前に締結された労務派遣契約は満了まで継続可能とする。ただし同一
職種同一賃金は厳格に実施。
・改正労働契約法の労務派遣に関わる新規定では、公布日(2012年12月28日)以前に
締結された労務派遣契約は契約満了まで継続可能とされています。現時点で締結され
た労務派遣契約の取り扱いは不明確ですが、大手労務派遣会社では現時点でも新規の
派遣契約を締結している。
【注意点・対策】
12月28日の改正前に締結された労務派遣契約は期限満了まで継続履行されますが、今回、再度強調された「同一労働同一報酬の原則」や「臨時的、補助的あるいは代替的」な業務でない派遣労働契約については、是正及び調整を行うことが要求されています。以下の点をご確認いただき、対応されることをお勧めします。
1.現状で雇用している派遣労働者数の確認
上述のポイントCの通り、今回の改正法では、派遣労働者の雇用について明確な基準が示されていません。ただし広東省や江蘇省蘇州市などのように、今回の改正前から派遣労働者数の雇用上限を法令で定めている地方政府もあるので、自社の全労働者数に占める派遣労働者数の比率を把握しておく必要があります。
参考)広東省では、『広東省労務派遣管理規定』第12条で、派遣労働者数が20人以上、或いは全労働者数に占める割合が10%以上の場合、管轄所在地の労働行政部門に登録が必要です。また、派遣労働者数は全労働者の30%を超えてはならないと規定されています。なお、江蘇省蘇州市では、「蘇州市労務派遣管理暫行弁法」第8条で、同20%を超えてはならないと規定されています。
1.人材採用までの流れ
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